昔よく聞いた言葉

 『骨には異常ない』。最近学校スポーツの現場で耳にしています。生徒が身体のどこかに痛みを感じて整形外科を受診した際に言われて来る言葉です。いわゆるスポーツ医学がまだ発展していなかったであろう私の幼少期にはよく聞いた記憶がありますが、トレーナーという仕事を志すようになってからはしばらく聞いたことはありませんでした。

 昔この言葉を聞いたときは『骨折はしていないから大丈夫』というニュアンスで受け取っていましたが、実際には骨折以外でも問題になる怪我はたくさんありますし、むしろ骨折以外の問題の方が多いのではないでしょうか。

 この現代でそういった化石とも言うべき言葉を耳にするとは思っていませんでしたが、地方へ行けば行くほど、まだこのような医療事情があるのかもしれません。

 私は選手が『骨に異常は無い』と言われましたと報告に来たら、『それで?』と聞き返すようにしています。生徒はきょとんとした顔をしますが、大事なのはその先の情報です。そういった事の繰り返しで自分の怪我としっかり向き合い、社会に出た後もうまく医療と付き合っていく術を学んでくれればと思います。

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