スタメン、フル出場

 昨日はアスレティックトレーナーとして非常にうれしい出来事がありました。昨年まで所属していたチームで昨年前十字靭帯を断裂し、シーズン最後までほぼマンツーマンでトレーニングを進めてきた選手が今期初出場を果たし、スターティングメンバーとして90分フル出場しました!
 前十字靭帯断裂というのはとても大きな怪我で、競技レベルへの復帰には手術が必要ですし、復帰には期間的にもとても長い時間が必要になります。シーズン中にこの怪我をすればそのシーズンはもう試合に出ることはほぼ不可能です。試合での結果が全てのプロリーグでは次のシーズンの契約の有無にも関係してきます。微妙な感覚もずれたりするので、パフォーマンス的に見ても選手生命を左右する怪我であることは間違いありません。
 フルタイムで競技スポーツの現場にいると、嫌でも毎日選手と顔を合わせなければいけないので、選手の苛立ちなども毎日受け止めながらトレーニングを進めていかなければいけません。毎日選手から逃げることはできません。選手も競技ができないという現実から逃げることはできません。この怪我からの復帰には医学的な知識や経験以外にも必要なことがたくさんあるんです。そういった環境下にあった選手がチーム内の競争も勝ち抜き、フィールドでパフォーマンスを発揮するというのは、我々アスレティックトレーナーにとってはこの上の無い対価であり、この職業をやっていてよかった、これからも続けていこうと感じる瞬間であります。
 こういった長期離脱の選手を担当すると、我々は本当に無力であり、選手自身のがんばりによって成し得た結果であるということを強く認識します。どれだけ知識や経験が増えても、そういった選手へのリスペクトやアスレティックトレーナーとしての原点を忘れずに過ごしていきたいものです。