Athletic trainer の評価

現在トレーナーの活動スタイルは多種多様ですが、私はスポーツ現場での活動というリアルなイメージを持ってトレーナーの道を歩み始めました。しかし20代の大半は医療機関で過ごしました。スタート時点とは全く違うスタイルですが、そう決めたのには明確な理由がありました。それは自分の仕事に対する評価はどのように行なわれるのかという事でした。
 医療機関でバイトをしていた学生時代は、よく他の部署に勉強に行きました。ドクターの診察につかせてもらったり、PTの仕事の見学や勉強会への参加、外部の学会へ参加したりしていました。その中で感じた事は、ドクター・PTとの医学的知識の差が大きいという事でした。きっと医療機関でドクターやPTと接する事が無かったらそうは感じる事は無かったと思います。それ以後、ドクターやPTが読む文献を読み漁ったのを覚えています。そして自分がどの程度医療的に正当な事が行なえているのか、それはドクターに評価を受けるのが最も妥当であると思いました。医療に関わり始めた時期に、純粋に医療的なクオリティーを高める事だけに集中できたのは、後から考えると大変いい選択だったと思います。
 スポーツの現場ではどのように評価されるのでしょうか。アスレティックトレーナーとしての専門スキル、チームの成績、役職別評価、コミュニケーション能力など複数の要素での評価が必要だと思います。しかし正直なところ日本のプロスポーツの現場でもトレーナーの評価項目が整備されているとは言えません。まだ歴史的に浅いので当然といえば当然ですが、やはり質の向上のためには整備が必要ではないかと思います。質を要求しないというのであれば別ですが…。
 では、現場にいる人達からの主観的評価についてはどうでしょうか。アスレティックトレーナーというのは非常に微妙なポジションです。立場としてはチームスタッフです。仕事を円滑に進めるためには選手に近すぎてもいけません。逆に監督やコーチに近くなりすぎると選手は心を開いてくれません。また同じメディカルスタッフやマネージャーからの評価もあるでしょう。一般的に人間は自分に都合良く動いてくれる人には個人的に高い評価をする傾向があると思います。しかし我々はその仕事の特異性から、どこか一つの立場からの評価が高いというのではいけないと思います。もしも偏った評価を受けているとすれば、責任を負う事から逃げていたり、コミュニケーション能力に欠けていたりといったことになるのではないかと思います。不思議な事に『名将』と呼ばれる指導者は、どんな立場の人に聞いてもマイナスの発言は聞かれません。私もそういったトレーナーになれるよう、日々心がけていきたいと思っています。