スポーツと教育

プロ野球の裏金問題からはじまり高校野球の特待制度のニュースが連日報道されていますが、トレーナーとして特に学生年代をサポートしていると、何かと考えさせられます。
私はちょうど高校生の年代を海外でプレーをし、中学時代もクラブチーム所属だったので部活動というものを、全くといってもいいほど知りませんでした。一番最初に高校の部活動をサポートさせて頂いた時は正直カルチャーショックでした。選手の数、練習内容、怪我人への多さ・対応の悪さ、選手の意識、トレーニングの内容といい本当に衝撃的でした。
私は決してプレーヤーとしてレベルの高い選手ではありませんでしたが、一応プロクラブのジュニアに所属し日々トレーニングをしていたので、選手数が100名を超え練習が殆ど出来ないとか指導者の目が行き届かないなどという事はありません、目的や理由のない非効率的な事は絶対に行いません、怪我人に対してもしっかりとサポートされていました。選手の意識に関しては色々でしたが、身近にいつもプロ選手がいたので、プロとして成功している選手にはやはり何か人間的に魅力を子供ながらにも感じました。
プロの世界である以上は厳しさがあったのも事実です。ある朝クビを宣告され荷物をまとめ田舎へ帰る選手もいました。そんな環境なので教育を充分にうけられていないのも事実で、貧困な街の出身の選手は生まれた年を知らない選手もいました。
ある友達がある日すごい笑顔で私に『学校へ行けるようになった』と言って来ました。聞くとその選手は今までも教育を受けた事がないので読み書きが出来ないというのです。もっと驚いたのは学校に行くために書類用に自分の誕生日を決めると言うのです。私は言葉を失いました。学校が嫌で嫌で仕方なかった自分を恥ずかしく思いました。あの出来事が現在の自分の学習意欲につながっているのかもしれません、
 日本の部活動というのは、教育現場でおこなわれるスポーツですから選手の教育(学習)という点では当然ですが利点が大いにあると思います。スポーツと教育というのが今回も大きな問題となっているのだと思うんですが(もちろん野球界のプロ・アマ間の問題が一番でしょうが)、教育の一環としてスポーツをするのか、スポーツを通じて教育をするのか、これは大きな違いがあります。どちらが良いとは一概には言えないと思いますが、当然ですがどちらにもメリットがありデメリットがあると感じます。
今回の件含め多くの場合日本では、教育の一環としてスポーツをとらえているという事が多いのではないでしょうか?私自身は教育の一環としてスポーツをした事はないので非常に違和感を覚えます。教育の一環としてスポーツをする事のメリットは大いにあるとは思いますが、
 私はスポーツを通じて多くの事を学びましたし、成長させてもらいました。これはスポーツによって教育されたと感じています。日本はもっともっとスポーツのもつ可能性にかけてもいいのではないでしょうか?施設の面や学力的な面など部活動の持つ利点は大いにあると思いますが、スポーツのもつ可能性にももう少しかけてみてはと思ってしまいます。