選手寿命

 アスレティックトレーナーは怪我という側面から選手に関わる事が多く、選手寿命といえば大きな怪我を連想する事がほとんどです。Jリーグというプロ社会とオリンピックを目指すアマチュア選手の両方に関わった事で、オリンピック中継を見て今までに無い事を考えるようになっていました。
 『バーンアウト』は以前からよく聞く言葉ですが、今程この現象が起こりうると感じたことはありません。Jリーグはシーズンスポーツでかつプロスポーツです。プロであるという事はそのスポーツで生計を立てており、自ら競技を辞めるという事は職を失う事です。マクロサイクルは1年となり、毎年シーズンが終了すると達成感はありますが、翌年へのモチベーションを持ちながらオフに入る事ができます。最もストレスの溜まるキャンプ(合宿)はシーズン開幕前のみで、雪国のチームでも5~6週間で終わります。一方オリンピックという目標を掲げているアマチュア選手ではマクロサイクルは4年で、オリンピックを目指してキャンプ(合宿)を繰り返す生活となり、練習量や時間的な制約も多くなります。サッカーでは1年我慢すれば安らぎの期間が訪れますが、アマチュア選手は4年間我慢を続ける事になります。4年という期間を我慢し続けるというのはどれほどのストレスでしょうか。恐らくは我々の想像を絶するものでしょう。『オリンピックが終ったら何をしたいですか…?』というインタビューに対して選手の本音が垣間見られる事が少なくないように思います。バーンアウトで選手生命が絶たれることが無いよう、アマチュアスポーツ界が発展していってくれるといいと思います。